人と人がコミュニケートする場合、「3つの言語」を使います。
1.口頭言語
2.身体(行動)言語
3.気管言語
この3つの言葉をフルに使いながら、お互いの思いや考え、気持ちや感情をやりとりしているのです。
1.口頭言語=いわゆる言葉による表現です。
2.身体(行動)言語=体を使っての表現です。
その場所にいるのかいないのか。相手との距離や体の向きはどうなのか。どんな姿勢でいるか。どちらを向いているのか。体を動かしているのか。静止しているのか。下を向いているのか。そっぽを向いているのか。立っているのか、座っているのか。くつろいでいるのか、緊張しているのか。相手と体を触れ合わせているのか、離れているのか。どんな表情をしているのか。目を合わせようとしているのか。目が合わないようにしているのか。
子どもに向かって「黙っていては何を考えているのか、わからないじゃないの」と口にする前に、しっかり観察してみましょう。子どもが体で、行動で、態度で、表情で、多くを語っているのに気がつくでしょう。
これらの中で特に注目したいのは、目の動き、目の表情です。目は心の動きを正直に的確に表現します。
子どもが表現している事実を的確に受け止める。
これも相手の「話を聴く」ということに含まれるのです。
子どもと無言のままにやりとりをする。それでいて、お互いに相手の気持ちや感情を分かり合えている。そんな場面にたくさん出会いました。
例えば、スキーを指導している場面を想像してみてください。
コーチが説明をした後に、自分で滑って見せます。
「はい、上の人から順番に滑りましょう」と声をかけます。
滑り終えた生徒(?)は、全員が必ず「同じ動作」を見せます。
うまく滑り終えても、途中で転倒しても、どんな状態でも「必ず」です。
大人も子どもも、男性も女性も、たとえ国籍が違っても、というのは私が7カ国8名の大学生にスキーを教えた時もそうでした。
彼らが見せる「同じ動作」とは、「コーチの目を見る」ことです。彼らは「無意識」に同じ動作をします。
なぜなら、人は誰でも相手の関心を求めているからです。相手から関心を寄せて欲しい、相手に認めて欲しい、自分の存在を認めて欲しい、という強い欲求を持っています。相手に感心を寄せて欲しい。相手に認めて欲しい。人間なら誰もが持っている「基本的な欲求」が、このような行動になって現れます。
相手との信頼関係を築くことができるか、相手に不信感を抱かせるかの重要な瞬間です。
指導する側の私は決してこの瞬間を見逃しません。相手と最初に目が合う瞬間には、どんなことがあっても必ず相手の目を見ます。私のは「意識して」の行動です。
「私の滑りをちゃんと見ていてくれた?」と問いかけてきます。
「もちろん。あなたの滑りをちゃんと見ていたよ」と語りかけているのです。
言葉を発するのは、その後です。
滑り終えてコーチの目を見たときに、コーチがほかの誰かとおしゃべりをしていたとしましょう。違う方を見ていたとしましょう。滑り終えた人はどのように感じるでしょう。このコーチは信頼できない。まず、そう感じるに違いありません。とても寂しい思いをするのではないでしょうか。そして、そのコーチに対する怒りがこみ上げてくるでしょう。
子どもが話しかけてきたときに、お母さんがそっぽを向いていたら、子どもはどう感じるでしょう。
「お母さんは今忙しいの、あなたの相手をしている暇はないの」
と言われたら、子どもはどのように感じるでしょう。
「ごらんの通り、今は手が離せないの。これが一段落するまで待ってよ。必ずあなたの話を聞く時間を作るから」
という言い方はどうでしょう。子どもはどう感じるでしょうか。
3.気管言語=体が勝手に表現してしまうことがありますね。
怒りの感情が高まれば、顔が赤くなる、額の血管が浮かび上がる、冷や汗が出てくる、体が震え出すなどです。
日常生活の中でコミュニケーションを考えてみましょう。
口頭言語、いわゆる言葉によるやりとりの占める割合が20%以下と言われています。ということは、目で話しを聴く=観察の必要があります。
沈黙の時間について先ほど触れました。目の前の子どもの口から言葉は出てこないが、身体言語、気管言語を使って自分の思いを伝えようとしていないでしょうか。観察することが大切ですよ、にも触れました。
相手の話を聴くということは、ただ言葉として出てくる部分(口頭言語の部分)だけではなく、相手の動作や表情、目で語りかけてくる部分(行動言語)も含めて、全身全霊を傾けて相手の気持ちや感情の動きまでをしっかりキャッチしようという強い意志がないとできないということです。
相手の「話を聴く」ことの難しさ、重要さをおわかりいただけたでしょうか。
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