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著 者: 武相荘翁
印鑑は我が国では欠かす事のできないものです。
公的な諸手続だけではなく、
私的行為についても、印鑑を求められることが多いです。


役所への各種届出や住民票等の交付、
さらには宅急便の受け取りなど、
日常の生活のあらゆる場面で、印鑑が必要とされています。




印鑑社会は外国人からは、
とても奇異にうつるらしいです。


ある海外特派員が、
日本の銀行に預金口座を開設しようとしたところ、
印鑑を要求され、印鑑は、持っていないので、
パスポートを提示したところ、
パスポートではだめだと言われたそうです。

ところが、近くのハンコ屋で
ファミリーネームに音が似た印鑑を買ってきて、
銀行に届けたところ、口座開設に応じてくれたそうです。


本人確認に、世界共通で認められているパスポートより、
誰でも入手できる三文判を信用する
日本の印鑑制度は、理解に苦しむと言うことです。




日本で、
一般国民が印鑑を使うようになったのは、
明治時代以降です。


明治4年に廃藩置県を断行した明治政府が、
中央集権化を推進するための一環として、
同年、戸籍法を制定し、
戸籍の管理にあたる庄屋、年寄りに
印鑑証明を行わせたことが始まりです。




登録印の制度は、
明治11年7月25日太政官布告32号によって
府県官職制改定のなかで定められてものを基盤にしました。


戦後は、
印鑑証明は条例によって取り扱われることになった。


地方自治法2条2項、3項16によって、
地方公共団体に印鑑登録事務の処理が任され、
昭和19年2月に自治省の通達で、
印鑑登録に関する統一的見解が自治体に出されました。

しかし、今日まで、
印鑑制度を統一的に規定した法律はありません。
契約書のような重要な文書ですら、
法的には、印鑑を必要とはされてはいません。




民法の弁済、親族法(遺言)戸籍法29条、33条、商法、
署名スベキ場合二関スル法律、手形法82条、小切手法67条、
不動産登記法、商業登記法などが、
これらの手続きに印鑑が必要なことを規定しているにすぎません。




それなのに、なぜ、
印鑑が、要求されていない文書にまで、
印鑑が要求されるのか。


印鑑が必要とされる理由については、
1つには本人の意思確認と
2つには、本人の同ー性の証明のためであると説明ざれています。


しかし、
本人の同一性を確認するためのものであれば、
印鑑よりも、写真の貼付されている
運転免許証やパスポートの方が確実です。




また、本人の意思確認ということであれば、

署名の方が、
偽造の困難性と他人による濫用の防止において
優れていることは、
私が知っている限り、日本以外の国で
本人のサインが重要視されていることからも明らかです。


サインやパスポートのよりも三文判の方が
信用性があるという国が日本以外にあることを
知っている方がいたら教えていただきたい。




それにもかかわらず、
署名よりも印鑑が重視されるのはなぜか。


その最大の理由には、
「本人」の印鑑が押されている文書は、
本人の意思にもとづくと推定されるという
民訴法228条4項があるため、
ハンコさえもらっておけば、
取引の相手方の責任が軽減される仕組みになっているからです。


民訴法228条4項の問題は、
2003年2月27日に、国会でも問題にされ、
当時の、森山法務大臣も、
同条は、時代にそぐわなくなったものとして、
法改正の検討の対象にすると答弁しました。

しかし、大臣の答弁にもかかわらず、
法務省の官僚は消極的です。

ハンコ裁判を止めれば、
裁判が遅延するとでも考えているからでしょう。


法務省は、表向きは、
民訴法228条4項は、成立の推定にすぎず、
内容の推定ではないといっていますが、
誰が聞いても詭弁に過ぎません。




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徒然なるままに、翁覚書
http://shachou.seesaa.net/

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http://shachou.seesaa.net/article/29129418.html
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